山田宏平の今とこれから

稽古休日

稽古休日。1冊の本と1枚のCDからいろいろなことを教わる。

■「ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う」読了。
フォーサイスの本拠地・フランクフルトに日野が訪れてワークショップをする7日間を記録した本。

この本に書かれている日野さんとフォーサイスは、
最初からためらうことなく互いに「入り」、感じて、生き生きとしたやりとりをしているように受け取れる。
知りたい、上達したい、という強い好奇心がそうさせる原動力なのだろう。

昨日日野門下生のある女優と、他者を感じて演じることの難しさについて話していたら、
彼女が「相手に入っていく」という言葉を口にした。
よく「受け取る」ことの大事さを言うが、
自分が向こう岸にいて届くものだけ受け取るのではなく、
もっと積極的に相手の中に入っていき、相手のすべてを感じるということなのだろう。
彼女はそんなことを日々の稽古でやろうとしているのだ。
もの凄くエネルギーを使うに違いない。
同時にそれが少しでも出来たらどんなに豊かさが加わるかと思う。

僕はまだ生き生きとやりとりできないことが多い。様々な自意識が邪魔をする。
「自分自身が値踏みされる、あるいは、自分自身を踏み絵にするのは興奮する」
(文中に掲載されている日野さんの日記より)
という言葉と僕はまだかなり遠い位置にある。
その言葉は自分でもちょっと発せそうだが、そう言い切れるのは、自分のまだほんの一部だ。

■ジャイルス・ピーターソンのCDを中古屋で入手。素晴らしい出来。
ジャイルスは僕が一番好きな選曲家。
埋もれていた、あるいはカビくさいと思われていた古いレコードから、
埃をかぶっていた宝石を取りだして、僕らに味わわせてくれる。

俳優もそうあるのが理想だ。
戯曲に埋もれている「生き生きとしたもの」を取り出し、時間と空間を豊かなものにすること。
この世界に埋もれている問題を見つけ、明らかにし、かつお客さんに美味しく味わってもらうこと。

ジャイルスがくれた宝石のもたらす極上の時間のなか、
僕が「三人姉妹」から掘り出せてない、あるいは掘り出してても磨けてない宝石たちのことを考える。
多分僕は何かを間違えているのだ。それは何か。何が違うのだろうか、と。
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# by blancbecbbkyamada | 2008-02-07 01:23 | Trackback | Comments(0)

「三人姉妹」稽古3日目

今日の稽古に参加するにあたって、2つの準備をした。

準備1.身体の準備をしっかりする
ほぐすだけだとどうも全身全霊で演劇できない、という感じがあった。
なんだか自分の身体が芯の残ったご飯みたいに、内側が固まったままに感じていた。
稽古場の雰囲気を壊さないよう、勝手に遠慮してアップしていたのだ。

それを改めることにした。
人には(俳優には)それぞれの調整しかたがある(当たり前だが)。
僕はずっと具体的に身体を躍動させる演劇をしてきたし、
それゆえしっかり動かしてから稽古に入る習慣があったのだから、
今回の稽古でもきちんと身体を動かしたほうが「演劇」できるはずだ。

やってみたら案ずるより産むが易し。別に誰も迷惑がってやしない(当たり前だ)。

準備2.作品の時代背景や固有名詞について理解を深める
今回の「三人姉妹」はテキストはそのままに、舞台を現代日本の地方都市に置き換えている。
置き換えの方向性が少し見えてきたら、改めて元の時代の情報に関して知りたくなったのだ。
稽古前に池袋のリブロに寄り、ロシア文学史関連の本を読み漁る。
今まで曖昧なまま扱っていた事象や固有名詞について、
■カフカズ(コーカサス)という土地が当時持っていた意味合い
■レールモントフ、ドボロリューボフ(文中出てくる詩人、評論家)はどういう人物であったか
■1幕の1848年について(ヨーロッパ各地の革命の年、マルクスが「共産党宣言」を発表した年)
など、収穫あり。

2つの準備は効果あり。
稽古の始めに行なう空間歩きの時点から調子がよい。
周りの人の表情が見えるし(小さなテーマ達成)、自分の時々の変化もいつもよりよく感じとれる。
更に前回の稽古に比べて、その場を感じること・居ることがしやすくなっている。
ちょっとだけチェブトイキン(僕の役 軍医)が呼吸し出してきた。

が、ここで失敗。
チェブトイキンが新聞を読んで「バルザック、ベルジーチェフにおいて結婚」と言う箇所がある。
今日調べて、この台詞を言うことで観客には時代設定がはっきりするのだということが判った
(日本が終戦した、といえば昭和20年・1945年の話だと判るようなこと)。
それを知ったことでこの台詞に対して、
バルザックの結婚はこの時代の大きなトピック(昨年のダルビッシュのような?)に違いないから、
ニュースを知ったら皆びっくりするだろう、と考えていたことを台詞の直前に急に思い出し、
大ニュースなのだから驚かなければと興奮してもいないのについ大きな声で言ってしまったのだ。
当然演出の世莉さんからはNGが出る。

驚くというプランがいけないのではないと思う。
この台詞にはこうこうこういう背景があるんだよ、だから僕が驚いたらみんなも驚いてね、
などと予め下交渉すればよかった、とも当然思っていない(そんなのは最低だ)。

そのとき、その場で、そのニュースを知った僕が驚いていなかった。
なのに驚くべきニュースだという決めつけに支配されて驚いた演技をした。
これがいけないのだ。

世間を騒がすニュースであっても、誰もが同じタイミングで同じように騒ぐわけじゃない。
そんなお決まりのリアクションをして許されるのは、バラエティ番組の観客ぐらいなもんだ。
上記のダルビッシュ投手の結婚だって、声をあげて驚いた人もいれば、
意外に思うけど別に反応するほどのことじゃなかったという人もいただろう(僕もそうだった)。

驚く可能性のあるくらいニュースバリューのある情報だと知ったことは間違いではない。
その情報を踏まえた上で、そのとき驚かなかったら、それはそのまま感じた程度に言えばいいのだ。
「感じようと考える」のでなく「感じる」こと。
悔しい。

次回以降継続のテーマ
■プラン(仮説)をどんどん立てること
■舞台に立ったらその仮説に囚われず、感じたままに生きること

でも今日いちばん悔しかったのは、
次回の「おやつ当番」を賭けた「ジップ・ザップ・ボーイング」で負けたこと。
このテのゲームは本気のときは絶対負けないのに! 自信が生んだ油断。
ポカやっちまった!!(@佐々木健介)
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# by blancbecbbkyamada | 2008-02-06 03:57 | Trackback | Comments(0)

2・3月は各地で山の手事情社!

なぜこの時期に!? 何か魂胆が!? と疑ってしまうくらい、
今月と来月は(あきれるほどの)山の手事情社月間でございます。

【終了!】山の手事情社EXTRA企画 おんな祭り第1弾「お茶とおんな」2/7(木)~10(日) 下北沢「楽園」
【終了!】劇団山の手事情社×シアター・プロジェクト香川「オイディプス王」2/9(土)~10(日) 香川県県民ホール アクトホール

劇団四季ではありません。分裂・崩壊したわけでもありません。
同時進行していた2つのプロジェクトのメンバーが重ならず、日程が重なっただけのことです。

更には
【終了!】東京国際芸術祭2008 リージョナルシアター・シリーズ「着座するコブ」
2/21(木)~24(日) 東京芸術劇場小ホール1
東京国際芸術祭2008 リージョナルシアター・シリーズ リーディング特別公演「静物たちの遊泳」
2/29(金)~3/1(土) 東京芸術劇場小ホール1
という2つの三村聡出演作品

山の手事情社 2007年度研修プログラム 修了公演「こんな奴ら。」2/28(木)~3/2(日) アトリエ春風舎
山の手事情社 2008年度研修プログラム オーディション
A日程:3/8(土)~9(日) B日程:3/22(土)~23(日)
という2つの研修プログラム関連行事

そしてシメに僕 山田宏平出演の時間堂「三人姉妹」 3/13(木)~23(日) 王子小劇場
いや~賑やかです。気分は山の手祭り。

今日集めた情報を総合すると、
一番「山の手度」が高いのが安田演出・山の手男優陣+香川県女子の「オイディプス王」、
「おんな度」なら「お茶とおんな」(女性性を前面に押し出したつくりになっている様子)
「新鮮度」なら研修生公演、
「新境地度」なら三村と山田(2人とも山の手や日頃の客演とは全く違うトーン・違う役柄をやる様子)

その他相模大野・宮城・大阪などで山の手関連のワークショップも行なわれるし、
山本・山口がスタッフで関わっている日野晃さんのドラムソロライブもあるし、
山田と演出助手の小笠原はアゴラ劇場のワークショップ研究会のプログラム発表(非公開)があるし、
もう大賑わいです。

時間堂はじめ、単価は安い、お得な企画が並んでいます。
複数の企画を味わっていただけたらとても嬉しいです。
ぜひぜひお越し下さいませ!
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# by blancbecbbkyamada | 2008-02-06 02:37 | Trackback | Comments(0)

「三人姉妹」稽古2日目

朝から雪。
KYWS(コーヘーヤマダワークショップ)の日だが、参加メンバーの交通事情等を鑑み、中止にする。
「三人姉妹」の舞台は寒い地域なので、
よい機会とばかりに朝から家のベランダで過ごし、雪の日の空気を体感した。

14時から稽古。本稽古初日に引き続き、1幕を組んでいく。
台詞は本稽古開始までの期間で全員ほぼ入っている。
荒く流しては曖昧な台詞の意味を問い、立ち位置や動ききっかけを設定していき、
最後に1幕を通してこの日の稽古は終わった。

今回のカンパニーは安心して演劇できるチームだ。
馴れ合いになる必要はないが、その場への警戒心や不安を解くことは作劇の大きな手助けになる。
それをわかっているメンバーなのだろう。
僕は全員と全くの初顔合わせだが、稽古場にいるのが既に苦でなくなった(これはとても大事なこと)。

一方でまだ舞台にいるときは居心地が悪い。これは僕の問題。
まだチェブトイキンという役に入れていない。
反射的・即興的にというより、その場その場の行き当たりばったりで対応してしまう。

人間がある瞬間に抱えている情報量と、
その場で起こった出来事への反応をすべく瞬時に判断するための情報量が、
日常生活のときに比べて圧倒的に少ない。

とりあえず今のテーマ
■場所を具体的にしていく。
家の中、外について、
どこに何があるかをはっきりさせ、好きな場所を探してみる。
■人物の印象を綿密にしていく。
家の人間、軍人たち、その他現在周りにいる人々について、
外見、声や話しかた、言動や行動を手がかりに、その人をどう思うかを仮定しておく
(これがないと起こったことへの反応がその場その場でいい加減に変わってしまう)。
■自分の体について明確にしていく。
身体能力、歩き方、病気はないか、体調の良し悪しをまず仮設定する。
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# by blancbecbbkyamada | 2008-02-04 02:25 | Comments(0)

土曜ワークショップ

東京北部にて、声優事務所出身者たちの演劇ワークショップ。
以前から見ているメンバーもいるが、このグループでは本日が初回。2時間半。

メニュー:
■王様マッサージ
■王様マッサージ(腕編、足編)
■Q&A
■Q&A(テンポを重視して)
■適切な距離を探しながらのQ&A(ステージ上と客席に分かれて、観客の距離・記者取材の距離など)
■稽古場のなかで好きな場所を探し、そこでのQ&A
■嫌いな場所を探し、そこでのQ&A

「何!? これが演劇のワークショップ!? マッサージと質疑応答だけだなんて!」
という声が聞こえてきそうだ。
しかし、これは僕の演劇ワークショップの初期メニューの肝になる項目である。

例えばマッサージ。
ただ漫然とするのではなく、
観察する・感じる・話す・聞く・よい加減を狙って集中する、などといった、
特別な技能を持っていなくても今まで生きてきた経験を使ってできる、
けれど全力でやるか手を抜くかで大きく違いが出ることに注意し、意識して行なう
(当然これらは、演劇に大いに求められる要素である)。

される側のテーマは以下のような項目。以下はその一部。
「自分の身体を知ること、感じること」
「その日の身体の状態に対して何かを感じていることを自覚すること」
「自分の欲しいことをシンプルに伝えること」
「どの程度言っていいものか・どう言えばいいかなどと思い悩まず、まずは言葉にして伝えてみること」
「身体の変化を味わうこと」
「自分の快/不快を見過ごさないこと」

一方する側にはこのようなテーマを与える。以下はその一部。
「相手の身体をよく観察すること」
「相手の言葉を聴くこと」
「自分が思ういい方法よりも、相手の欲しいことを優先する(自分の美学を相手に押し付けない)」
「相手の状態を感じ取り、よりよい加減で施術するよう気を注ぐこと」
「相手の状態はどんどん変わっていくので、それを見逃さないようにすること」
「わからないことは自分で思い悩まず、相手に聞いてみること」

「自分の身体を用いて、何かに関わる」
これはほぼすべての演劇に共通していることだ。
同時に俳優の勉強をしたいと集まってくる人たちが凄く軽視しがちなことでもあると思う。
何年も生きてきたんだからそんなの簡単だ、それより早く技術を教えてくれ、といったところか。
だが上記のテーマを「ちょうどそのときのよい加減」にするのは、突き詰めていくと結構難しいのだ
(当然これらは、演劇に大いに求められる要素である)。

今日のワークショップは上々のスタート。
いろいろ感じているし、他者に対しての働きかけと受け取りに力を注ごうとしている。
これから演技技術をつけていく過程で、
今日の素直さや真剣さが損なわれること無く磨かれていけるようにプログラムを進めていきたい。
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# by blancbecbbkyamada | 2008-02-02 15:58 | Trackback | Comments(0)

演劇活動(主に俳優仕事とワークショップ仕事)に関するブログです。今とこれから(あとたまに甘い過去)について、不定期に更新します。
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